民法のテキストについて

 民法のテキストについては、在学中に両者を通読することになると思われますが、講義を進める上での学修の伴としてみた場合、下記のように利用することを奨めます。


◆内田『民法』コメント

 財産法分野(総則、物権、債権)が3冊に納められている。従来の定義重視、論理重視の民法基本書とは異なり、多くの事例を素材にして現代社会における民
法の役割がダイナミックに描き出されている。また、主要な論点について網羅的に記述されており、関連判例、学説の対立、立法に関する情報も多い。

 一方で、その分内容が相当高度なものになっており、民法の完全な初学者にはやや不向きである。民法の学習を一通り終えた学生に推薦したい。本書はパンデクテ
ン方式を採用しておらず、また、司法試験受験の標準的な民法教科書として使用されている。

 


◆大村『基本民法』コメント

 財産法分野(総則、物権、債権)が3冊に納められている。内田民法と比較して、大学での講義テキストとしての色彩が強く、制度の定義、要件、効果等を中心に、基本的な事項の説明に徹している。

 一方で、制度と制度の関連性、他の論点との論理的整合性を意識した記述が多く、民法の全体像が把握できるよう配慮されている。そのため、民法の基本的事項を学習し、民法の全体像を把握する必要がある完全な初学者には、大村民法を推薦したい。本書も、内田民法と同様にパンデクテン方式を採用していない。