平成16年度鹿児島大学法科大学院入学試験

 

小論文試験の問題と出題意図

 

小論文試験問題
(PDF:142k)

 

 

【小論文の出題及び出典】

 当日の小論文問題用紙では、受験生の予断を与えることを避けるため、出典を明確にはしなかったが、引用した文章@は、朝日新聞2000年10月11日「ニュースのことば」(森本美紀記者執筆)から、文章Aは、畠山武道「レオポルドからストーンへ、そしてー自然物の権利に対する実定法的アプローチ」(『書斎の窓』有斐閣1993年12月号)から、文章Bは、鹿児島地裁2001年1月22日判決から引用した。
 なお、問題の冒頭でことわったように、問題の作成上の配慮から構成・字句を一部変更・修正している。

 

【小論文の出題意図】
 
(設問1)
 この問題では、鹿児島地裁2001年1月22日判決の中から、判決が疑問を投げかけている「自然が人間のために存在するとの考え方」をとりあげて、受験生が、いまの社会の中で、この種の事例について、どれだけ問題関心をもっているのか、いわば「問題発見能力」をためす意図を有していた。したがって、具体的な事例をあげて、自分の問題関心が明確に表現されている答案ほど高得点になっている。

 

(設問2)
 今回の小論文は「自然の権利」に関するものである。3つの異なる文章を受験者に読んでもらい、それを参考として、自然環境の保護と開発が両立しうるかを論述してもらった訳である。論述してもらいたい内容は、抽象的なものではなく、日本、世界、地球規模の自然・環境保護と開発の両立について、具体例を挙げてもらい、それについて各自の意見を述べてもらう意図していた。従って、論述内容が抽象的であけば評価も低い。自然の権利以外のものでも十分評価はしている。
 

 

(設問3)
 環境破壊に対する規制の事例を挙げさせ、それに対する自己の意見を記述させる問題で、設問文章から読み取れる環境問題への問題意識と事例摘出能力、および法曹に必要な自己の意見を説得力ある形で論理的に展開できるセンスをみる意図で出題した。

 

 

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